グッドデザイン賞・ウッドデザイン賞W受賞
社会課題の解決と美しさの両立
未来に向けたデザイン価値

2025年度のグッドデザイン賞とウッドデザイン賞をダブルで受賞した「調布フォルターブⅢ」。
制約条件の多い賃貸住宅での受賞に至った舞台裏について、商品開発と現場施工に携わった方々にお話を伺いました。

本社 商品開発部 次長

しもだいら
下平さん(左)

35期入社から商品開発部一筋。フォルターブⅢ開発では木現しのプランを考案。現在はデザイン、高級賃貸など特注対応力を強化中。


本社 技術監理部 設備技術課 課長

まつもと
松本さん(右)

33期入社の翌年、商品開発部配属後、今期から技術監理部へ異動。商品開発設備設計に現在も携わる。趣味は車で日帰り温泉巡り・キャンプなど。


本社 技術開発部 CLT開発課 課長

こばやし
小林さん(左)

39期江東支店入社時から特注物件を担当し、設計センターへ配属後デザインを担当。CLT開発課で環境配慮型建材の開発に携わる。


本社 商品開発部 商品開発課 課長

たなか
田中さん(右)

41期入社。商品開発部にて意匠の業務に携わる。グッドデザイン賞では応募・プレゼン資料の構成、作成についてサポート。


受賞が社員の働きがいに

受賞に至る軌跡

田中さん
グッドデザイン賞には約13年前から毎年チャレンジしていて、当社商品について、デザインの対外的な評価を得ることが目的でした。今回の受賞によって当社の技術力や商品の素晴らしさが少しでも伝われば嬉しいですね。

松本さん
同じ物件がウッドデザイン賞も受賞できたことは、とてもタイミングが良かったなと思います。ウッドデザイン賞の応募にはグッドデザイン賞の資料が活かせましたし、ウッドデザイン賞では「環境」にどう貢献するのか、その可能性の部分を高く評価いただけました。

田中さん
グッドデザイン賞には、日用品、文房具など日常手にするアイテムが多く選ばれますが、最近は世界的な課題として『環境』が注目されていて、その課題にデザイン性の高い建築物で貢献する点が評価されて受賞に繋がりました。ウッドデザイン賞はグッドデザイン賞ほどの知名度はまだまだありませんが、環境に貢献できる企業として、この賞を我々がPRすることで賞自体の認知度向上にも貢献できればと思います。

松本さん
グッドデザイン賞はチャレンジを始めた当時よりも応募数が増えていて、表彰会場の熱気もすごかったです。受賞企業は壇上でスピーチするのですが、登壇される方は若い方も多く、出席した当社の若手社員が「いつか金賞を取って壇上にあがりたいと思いました」って言ってくれて。こうやって社員の働きがいにもつながるという発見がありましたね。

田中さん
そうですね。人材採用の観点で見ても「こんな若手がチャレンジできる企業で仕事をしてみたい!」という応募動機に繋がるのではと思います。また、グッドデザイン賞は見た目だけで評価される賞ではなく、設計・開発、技術や施工、運用管理など横のつながりも含めて評価された賞として、会社全体を評価いただいたと感じています。
また、今回のグッドデザイン賞は「調布に建てられたひとつの建物」として受賞しています。つまり、支店で設計・施工する物件でも受賞のチャンスはあるので、モチベーションを高く持っていただきたいですね。

『モノ』と『コト』のデザイン

下平さん
環境を語るうえで脱炭素はもう当たり前で、炭素固定という考え方から都市の木造化は業界の大きな流れになっています。しかし、せっかく木造で建てても燃焼性の問題で防火素材で表面を覆いかぶせる必要があるため、全然木造に見えないんですよね。建築に携わる者としては「木で作っているのに木を見せられない点」を非常にもどかしく感じていました。
それを「燃えしろ設計」で解決したのが今回の調布フォルターブⅢ。炭素固定を実現しながら、木材の持つ美しさと安全性を両立させたのです。脱炭素化という事象=『コト』だけではなく、美しい『モノ』を両立させたことが受賞に繋がったと考えられ、『コト』と『モノ』の融合が今後の開発のヒントになるでしょう。『モノ』は形で残るけれど『コト』の変遷はとても早い。「今の世の中に必要な『コト』って何だろう?」と常に追求し続ける姿勢が大切ですね。

社会課題とデザインの価値

下平さん
今回の「調布のCLT集合住宅」はコストと時間をかけて実現できた訳ですが、職人さんの減少、建築費の高騰など現在進行形の課題含めさまざまな社会課題をクリアしながら、どう美しい解法で実現していくか、未来へのチャレンジが続きます。

小林さん
今はRCも高騰が続いており、なかなかコストが落ちる要素がないですよね。当社としては、長期的に木造を売れるようにしていくことが必要だと考えています。もちろん木造は被覆を避けて通れない。燃えしろ設計はデザイン面も含めた解決策のひとつですが、他の方法も模索しています。

松本さん
今まで中層の建物は、鉄筋コンクリート造や鉄骨造しか手段がありませんでしたが、木材の利用促進化のなかで法律も改正されてきています。ただ、現場でそれを実現するにはものすごい苦労があるのも事実です。計算上は成立するけれど、コスト面・デザイン面・工法面の課題を解決し、実現を追求するところに価値があるのかもしれないですね。つまり、これは技術部門全体の課題ですね。


グッドデザイン賞

1957年に創設されて以来、Gマークとして広く認識されている日本で唯一の総合的デザイン評価。形の有無にかかわらず、『人が何らかの理想や目的を果たすために築いたものごと』をデザインととらえ様々な観点でグッドデザインか否かを判断している。

受賞式での記念撮影の様子

ウッドデザイン賞

2025年で11回目を迎える、木の良さや価値をデザインの力で再構築した建築や仕組みなどを表彰する制度。最も優れた作品には「農林水産大臣賞」「経済産業大臣賞」「国土交通大臣賞」「環境大臣賞」が授与される。


グッドデザイン賞受賞を当社のデザインに誇りを持てるきっかけに

受賞の陰にある若き技術者達の挑戦

異例づくしで非常に困難な現場

開発と建築の同時進行

北村さん
私は開発部分の意匠設計を担当しました。通常は商品開発部で商品化した後に支店で契約や特注として進めるのですが、今回は商品がない状態から支店の設計の方と同時並行で作ることになった点が異例でした。基幹商品として作るからには全国をほぼカバーできる商品にしないといけない。だから様々な実証実験も平行して進めていきました。今回は、図面をつくって積算で金額を算出してコストダウン…という工程に1年くらいかかりました。建築確認検査機関も初めての事例で判断できず保留になる期間もあり「担当の方と直接会って話さないと進まないな」と、話がつくまで絶対に帰らない覚悟で検査機関に押しかけ、審査担当の方が3時間くらいずっと悩みっ放しみたいな状況もありました(笑)。

川﨑さん
私は開発部分の構造を担当しました。開発工程がどんどん伸びて「これ、いつ終わるんだろう?」と精神的にも不安になることもありましたが、CLTの単価引き下げなどコストカットの面で多くの方にご協力をいただきました。今回の受賞がご協力いただいた皆さんにも喜んでいただけると嬉しいですね。また、北村さんも話されていましたが、今回は『基幹商品としてのフォルターブⅢ』の開発と『調布フォルターブⅢ』をそれぞれ詰めていかなければならず、そこが大変でしたね。

今村さん
私は物件の設計担当として提案から完成まで携わりました。外観や外構はこだわりがたくさんあり、色味や配置、目地の位置まで現場で職人さんと打ち合わせました。工事は1期工事と2期工事にわかれていて、ご提案から完成まで約2年半の長期にわたり、検査機関とのやりとりも最後は粘り勝ちでしたよね(笑)

建築当時、現場では

佐野さん
私は開発の企画当初の構造担当に携わっていたこともあり、基幹商品化と実物件を並行して進める異例の流れのなかで実物件の方の構造を担当しました。開発担当から引き継いだ時には、実際に納まっていない接合部分があったりして、そこを調整していくのが本当に苦労しましたね。構造担当は建て方が終わるとあまり現場に行かなくなりがちですが、今回は最後まで現場に行くことになりました(笑)。

五味渕さん
私は物件の設備を担当しました。設備の納まりのために現場に何度も通い、悪天候の中でも補助金申請のためにCLT搬入写真を撮影しました。椎名さんをはじめ現場のチームワークがよかったなと思います。

椎名さん
私は現場の工事を担当しました。「基礎のアンカーボルトさえしっかりできれば、後は問題なく進むだろう」くらいに考えていたのですが、内装工事も甘くなくて。あの現場に設計のみなさんがいなかったらここまで良い建物にならなかったと思います。

佐野さん
通常の2×4工法の工程とは異なり、鉄筋、型枠を設置する前にアンカーフレームを緻密に組む必要があり、業者さんが作業する時にすごく邪魔で「こんな状態では進められないよ!」と揉めましたよね。

椎名さん
事前に「大変ですよ」とは伝えていましたが、実際に現場に来た職人さんは「マジか!」と頭を抱えていましたね(笑)。アンカーフレームは1ミリ単位での調整が必要だったので、現場では「アンカーフレームにモノを置かないで!」とか、「腰かけないで!」という声が飛び交っていました。実際かなり大変だったんですけど、本当に担当できて良かったと感じています。今回の現場を思い出せば、大抵うまくやっていけるなって(笑)。ノウハウも蓄積できたし、みなさんとの仕事が楽しかったです。

受賞を自社商品の自信に繋げる

フォルターブⅢのセールスポイント

北村さん
やっぱり「現し」の部分をアピールしていただきたいです。CMでも写されている室内の「現し」しかり、廊下の天井部分の「現し」が印象的なので一番のポイントだと思います。逆説的な言い方かもしれませんが、「現し」がないとCLT感が伝わらないですよね。

今村さん
私は今回の受賞がコンサルタントセールスの皆さんに当社の商品に自信を持ってもらえるきっかけになればと思います。もちろんフォルターブⅢが売れて欲しいという想いはありますが、「グッドデザイン賞を受賞できるだけのデザインが当社にできるんだ!」と自信をもってセールスして欲しいです。それに、CLTだけじゃなく、受賞による自信が会社全体の販売促進につながっていったら嬉しいですね。

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